
“安排”ānpái “安置”ānzhì (劉 穎) ~ 【相原茂:監修】 「どうちがう?似たものことば」(16)

>>目 次
●第16回
どちらも「手配する」「配置する」の意味だが、それぞれ強調する重点が違っている。
両方ともに使われている“安”は、安定・平穏・落ち着いているという、いわゆる心配のない状態を
表す意味をもち、“安排” も“安置”もそういった「望ましい状態」、「良い状態」にするという意味
合いが含まれる。違いは後の要素の“排”と“置”の相違に関わることになる。
“排”は、ここでは配列する・並べるという意味で、“安”と組み合わせてできた“安排”は、
「物事を行う際の時間的な前後関係や優先順位・軽重を考えて合理的で都合のいいように、
時間や事柄、または人員などを割りふる」の意味に解釈できる。つまり何かをやるときの手順などを、
前後,緩急,軽重を判断してうまくアレンジして「並べる」感じがあり、最善な配列(にする)という
ところに重点を置いている。
この場合の“安排”は“安置”に置き換えられない。
1)我一定安排时间参加那个会。
Wǒ yídìng ānpái shíjiān cānjiā nèige huì.
(私は必ず時間の都合をつけてその会議に出席します)
2)咱们先安排一下今天的日程吧。
Zánmen xiān ānpái yíxià jīntiān de rìchéng ba.
(まず今日の日程を組みましょう)
3)这个星期天他们安排了植树活动。
Zhèige xīngqītiān tāmen ānpáile zhíshù huódòng.
(今週の日曜日,彼らは植樹のイベントを行うスケジュールを組みました)
4)学校为留学生安排了丰富的业余生活。
Xuéxiào wèi liúxuéshēng ānpáile fēngfù de yèyú shēnghuó.
(学校は留学生のためにバラエティに富んだ余暇の活動計画を立てた)
5)公司安排我后天值夜班。
Gōngsī ānpái wǒ hòutiān zhí yèbān.
(会社は私をあさっての夜勤に振り当てた)
一方、“置”が主張する特徴は「置く」ということで、それが“安”と結合し「人や物を、
適切な箇所に置いて落ち着かせる」という意味の言葉を作り出す。つまり「位置固定」という
ニュアンスを持つと言える。
この場合には“安排”と置き換えることはまずできない。
6)创始者的雕像安置在大厅的中央。
Chuàngshǐzhě de diāoxiàng ānzhìzài dàtīng de zhōngyāng.
(創始者の彫像はホールの真ん中に設置されている)
7)客厅里安置了一套高级红木家具。
Kètīng li ānzhìle yí tào gāojí hóngmù jiājù.
(リビングにマホガニーの高級応接セットが適所に置かれている)
6)と7)のように“安置”の対象物が物の場合は、「適所にしっかりと置かれる」ことを表す。
“安置行李”ānzhì xíngli(荷物を適所に置く)“安置机器”ānzhì jīqì(機械を適所にすえて置く)
などとも言う。
8)安置难民是一件很重要的工作。
Ānzhì nànmín shì yí jiàn hěn zhòngyào de gōngzuò.
(難民を(適所に)配置することはたいへん重要な仕事です)
9)先把灾区的老弱病残安置下来。
Xiān bǎ zāiqū de lǎoruòbìngcán ānzhì xiàlai.
(まず被災地区の老人・虚弱者・病人及び身障者をちゃんと落ち着かせなさい)
8)と9)のように“安置”の対象物は人の場合は「落ち着く場所にいさせる」の意味となる。
従って、職や所属機関などがない人のために就職先などの世話をすることを言うときにも使える。
“安置毕业生” ānzhì bìyèshēng (卒業生に就職先の世話をする)
“安置退伍军人” ānzhì tuìwǔ jūnrén (退役軍人に民間の仕事をあてがう)
このように、“安排”は「最善な割り振り」、“安置”は「最善な帰属場所」と、表す意味が違ってくる。
どちらの意味にも取れる時には“安排”と“安置”のどちらを使っても良い場合もある。
ただし、文のニュアンスは少し異なる。
10)公司把日本客人安排/安置在宾馆休息。
Gōngsī bǎ Rìběn kèren ānpái/ānzhì zài bīnguǎn xiūxi。
(会社は日本のお客さんを近くのホテルで休むように手配しました。)
11)我们给他安排/安置了工作。
Wǒmen gěi tā ānpái /ānzhì le gōngzuò.
(われわれは彼に仕事の手配をした。)
10)と11)はどちらを使ってもいい文ではあるが、それぞれの文のニュアンスが違っている。
9)は、日本人のお客さんのスケジュールの割り振りに重点を置けば“安排”を使い、日本人お客さんを
適所に落ち着かせる意味に重点を置くと“安置”を使うことになる。
11)は、人員を合理的に割り振る場合は“安排”を使い、その人の就職先を世話をして落ち着かせる
ことに重点を置けば“安置”を使う。もしも11)の文中の「他」がその会社の社員であるなら、
“安置”は使えなくなる。 もっと分かり易い例を挙げると、
○ A. 今天主任给他安排了什么工作?
Jīntiān zhǔrèn gěi tā ānpáile shénme gōngzuò?
(今日、主任は彼に何の仕事を割り振りましたか)
× B. 今天主任给他安置了什么工作?
Jīntiān zhǔrèn gěi tā ānzhìle shénme gōngzuò?
(今日、主任は彼を何の仕事に配置しましたか)
なぜ、Bは“安置”が使えないのか。上の分析からもわかるように、すでに職についている“他”を,
つまり一旦“安置”されている身分のものを,再びしかるべき場所に置いて落ち着かせる必要がないからだ。
(執筆:劉 穎)
相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。
『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。
●相原 茂ホームページ:
MAO的小屋~相原茂の隠れ部屋
http://maoroom.jp/
●中国語コミュニケーション能力検定(TECC)公式HP:
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)
●第16回
どちらも「手配する」「配置する」の意味だが、それぞれ強調する重点が違っている。
両方ともに使われている“安”は、安定・平穏・落ち着いているという、いわゆる心配のない状態を
表す意味をもち、“安排” も“安置”もそういった「望ましい状態」、「良い状態」にするという意味
合いが含まれる。違いは後の要素の“排”と“置”の相違に関わることになる。
“排”は、ここでは配列する・並べるという意味で、“安”と組み合わせてできた“安排”は、
「物事を行う際の時間的な前後関係や優先順位・軽重を考えて合理的で都合のいいように、
時間や事柄、または人員などを割りふる」の意味に解釈できる。つまり何かをやるときの手順などを、
前後,緩急,軽重を判断してうまくアレンジして「並べる」感じがあり、最善な配列(にする)という
ところに重点を置いている。
この場合の“安排”は“安置”に置き換えられない。
1)我一定安排时间参加那个会。
Wǒ yídìng ānpái shíjiān cānjiā nèige huì.
(私は必ず時間の都合をつけてその会議に出席します)
2)咱们先安排一下今天的日程吧。
Zánmen xiān ānpái yíxià jīntiān de rìchéng ba.
(まず今日の日程を組みましょう)
3)这个星期天他们安排了植树活动。
Zhèige xīngqītiān tāmen ānpáile zhíshù huódòng.
(今週の日曜日,彼らは植樹のイベントを行うスケジュールを組みました)
4)学校为留学生安排了丰富的业余生活。
Xuéxiào wèi liúxuéshēng ānpáile fēngfù de yèyú shēnghuó.
(学校は留学生のためにバラエティに富んだ余暇の活動計画を立てた)
5)公司安排我后天值夜班。
Gōngsī ānpái wǒ hòutiān zhí yèbān.
(会社は私をあさっての夜勤に振り当てた)
一方、“置”が主張する特徴は「置く」ということで、それが“安”と結合し「人や物を、
適切な箇所に置いて落ち着かせる」という意味の言葉を作り出す。つまり「位置固定」という
ニュアンスを持つと言える。
この場合には“安排”と置き換えることはまずできない。
6)创始者的雕像安置在大厅的中央。
Chuàngshǐzhě de diāoxiàng ānzhìzài dàtīng de zhōngyāng.
(創始者の彫像はホールの真ん中に設置されている)
7)客厅里安置了一套高级红木家具。
Kètīng li ānzhìle yí tào gāojí hóngmù jiājù.
(リビングにマホガニーの高級応接セットが適所に置かれている)
6)と7)のように“安置”の対象物が物の場合は、「適所にしっかりと置かれる」ことを表す。
“安置行李”ānzhì xíngli(荷物を適所に置く)“安置机器”ānzhì jīqì(機械を適所にすえて置く)
などとも言う。
8)安置难民是一件很重要的工作。
Ānzhì nànmín shì yí jiàn hěn zhòngyào de gōngzuò.
(難民を(適所に)配置することはたいへん重要な仕事です)
9)先把灾区的老弱病残安置下来。
Xiān bǎ zāiqū de lǎoruòbìngcán ānzhì xiàlai.
(まず被災地区の老人・虚弱者・病人及び身障者をちゃんと落ち着かせなさい)
8)と9)のように“安置”の対象物は人の場合は「落ち着く場所にいさせる」の意味となる。
従って、職や所属機関などがない人のために就職先などの世話をすることを言うときにも使える。
“安置毕业生” ānzhì bìyèshēng (卒業生に就職先の世話をする)
“安置退伍军人” ānzhì tuìwǔ jūnrén (退役軍人に民間の仕事をあてがう)
このように、“安排”は「最善な割り振り」、“安置”は「最善な帰属場所」と、表す意味が違ってくる。
どちらの意味にも取れる時には“安排”と“安置”のどちらを使っても良い場合もある。
ただし、文のニュアンスは少し異なる。
10)公司把日本客人安排/安置在宾馆休息。
Gōngsī bǎ Rìběn kèren ānpái/ānzhì zài bīnguǎn xiūxi。
(会社は日本のお客さんを近くのホテルで休むように手配しました。)
11)我们给他安排/安置了工作。
Wǒmen gěi tā ānpái /ānzhì le gōngzuò.
(われわれは彼に仕事の手配をした。)
10)と11)はどちらを使ってもいい文ではあるが、それぞれの文のニュアンスが違っている。
9)は、日本人のお客さんのスケジュールの割り振りに重点を置けば“安排”を使い、日本人お客さんを
適所に落ち着かせる意味に重点を置くと“安置”を使うことになる。
11)は、人員を合理的に割り振る場合は“安排”を使い、その人の就職先を世話をして落ち着かせる
ことに重点を置けば“安置”を使う。もしも11)の文中の「他」がその会社の社員であるなら、
“安置”は使えなくなる。 もっと分かり易い例を挙げると、
○ A. 今天主任给他安排了什么工作?
Jīntiān zhǔrèn gěi tā ānpáile shénme gōngzuò?
(今日、主任は彼に何の仕事を割り振りましたか)
× B. 今天主任给他安置了什么工作?
Jīntiān zhǔrèn gěi tā ānzhìle shénme gōngzuò?
(今日、主任は彼を何の仕事に配置しましたか)
なぜ、Bは“安置”が使えないのか。上の分析からもわかるように、すでに職についている“他”を,
つまり一旦“安置”されている身分のものを,再びしかるべき場所に置いて落ち着かせる必要がないからだ。
(執筆:劉 穎)
相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。
『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。
●相原 茂ホームページ:
MAO的小屋~相原茂の隠れ部屋
http://maoroom.jp/
●中国語コミュニケーション能力検定(TECC)公式HP:
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)





読者のコメント